旧日本軍そのままではないか
-コロナに対する国の対応-
先週のこのコラムに「物事を戦争に例えるのは好きではないが」と書いたが、新型コロナウィルスに対するこの国の戦い方は兵力を小出しにしては全滅に次ぐ全滅。旧日本軍そのままではないか。
変異ウイルスが猛威をふるう大阪では先週、224の重症病床に対して重症患者が261人と、河川でいえば、ついに堤防が決壊してしまった。来月4日には重症者は400人を超え、危機は一層、高まる。
そんなとき、府が出した対策は大学の授業のオンライン化や小中、高校の部活の中止要請などだ。重症患者の命が危ないときに子どもたちから部活を取り上げて、いったい、なんの意味があるのか。
その大阪のほか宮城、兵庫は4月5日にまん延防止等重点措置を適用。すると1週間遅れで東京、京都、沖縄が後を追い、さらに明日20日からは息せき切って駆け込んできた神奈川、埼玉、千葉、愛知の4県に適用される。まさにチョロリチョロリの小出し対策。
こうした状況に政府の尾身茂分科会会長が「感染は4波に入っている」と指摘。また日本医師会の中川俊男会長は「大阪はすでに医療崩壊。一刻も早い緊急事態宣言を」と助言している。
だが、菅首相は国会で「現時点でそういううねりにはなっていない」と言い放った。科学者でも医学者でもない首相が何をもってそう断言できるのか。ことここに至って、やるべきことは指揮官の更迭しかない。
そう思いつつ、最後の切り札、ワクチンはどうなっているのか。調べてみると先週半ばで高齢者3600万人の接種率は0・008%。
なんだか猛り狂う大火災に、注射器で水をかけているような気がしてきた。
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2021年4月19日掲載)
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