日刊スポーツ「フラッシュアップ」 大谷昭宏
一時的消費税ゼロしかない
-ゼロに等しいコロナ禍の経済対策-
先週末から首都圏は移動自粛。関西から毎週、東京に通っている身には、なんだか申し訳ないことをしているような気がする。日本、特に東京は、中国や欧米の爆発的な新型コロナの感染に気を取られているうちに襲いかかられてしまったというところではないか。
大阪のテレビ番組では先週、阪神タイガースの藤浪晋太郎投手(25)ら3選手の陽性反応に騒然となった。ウイルス感染はそんなふうに健康な人々の体に襲いかかる。その一方で健全な社会の仕組み、特に経済を直撃する。なのに、こちらの方はいまだに対策はゼロに等しい。この日の番組はそこに焦点を当てた。
大阪では、すでにホテル運営会社が倒産。関西空港内の人気すし店が撤退した。帝国データバンクの分析によると、経済直撃の第1波はまずホテル、旅行会社。2波は飲食店、百貨店。3波が縫製を海外に頼るアパレルやイタリア、フランスが人気のファッション業界に。そして4波は自動車、家電など製造業にやってくる。そしていまは第4波の直前にまできているという。
なのに対策は百家争鳴ならまだしも、騒音、雑音ばかり。児童手当、母子家庭手当はどうだ。いや、これこそ貯蓄にまわってしまうじゃないか。ならば全員に商品券はどうだ。でも券を印刷して各所帯に届けるまでに、ウイルス感染は収まってしまうじゃないか。
そもそも、いま落ち込んでいるのは個人だけではない。経済全体なのだ。だとすれば、私は一時的に消費税をゼロにするしかないとは思う。1億円のものが1千万円。1千万のものが100万円も安くなるとなれば消費は動く。これ以上、下がらないから買い控えも起きない。
なのに、政権はそっちに向かおうとはしない。なぜか。いつか必ず税率を元に戻さなければならない。そのときは必ず選挙でボロ負けする。それが恐い。
要するに、わが政権が、わが身が、かわいいだけなのだ。とはいえ何もしないわけにはいかない。そこで出てきたのがお肉券にお魚券。会食、外食の自粛で高級和牛、ステーキの売り上げが落ちた。ならばここで、みんなにお肉を食べてもらって景気対策にしようというのだ。
もはや何をか言わんやだ。さてこのコラム、これがホントの苦肉の策と締めたら叱り飛ばされるだろうなあ。
(2020年3月31日掲載)
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