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2018年11月29日 (木)

日刊スポーツ「フラッシュアップ」 大谷昭宏

カジノとセットの「未来社会のデザイン」なんて
‐万博決定にも浮かない顔の関西人‐

  めでたさも中くらいなりおらが春─。お正月までまだちょっとあるけど、そんな気持ちですね。2025年万博は大阪に決まった。大阪で暮らして半世紀。私にとっても、めでたくも、そしてうれしくもある55年ぶりの大阪万博。♪こんにちは こんにちは 西の国から…の歌声がよみがえる。

  だけど博覧会事務局の総会がパリで開かれた23日、私はテレビ局のロケで大阪の中心、ミナミから天王寺、船場、そこから梅田を抜けて新大阪に移動したのだが、その間、ついに万博の「ば」の字も目にしなかった。スタッフの口から万博が出ることもなかった。経産大臣、知事、市長のハシャギぶりとは随分違う。

  とはいえ相次ぐ自然災害や少子高齢化の影。対アメリカ、ロシア、中国、韓国、ぎくしゃくする国際関係。あまりいいことがないなかで、5月から11月まで「夢州」(ゆめしま)に半年にわたって万国が集うお祭りが決まった。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。いいじゃないですか、夢がありそうじゃないですか。

  なのに多くの関西人が浮かない顔をしているのはなぜか。もちろん高度経済成長に向かってまっしぐらだった東京五輪、大阪万博とは時代背景がまるで違う。だけど私はそれだけとは思えない。言うまでもなく、都が主体の五輪と違って万博は国のイベント。とてもこんな金額ではすみそうもないはずだが、当面の会場建設費1250億円を国、大阪府市、経済界で3等分することにしている。

  だが大阪は府市とも財政は火の車。経済界はトヨタという大スポンサーがいた愛知万博と違って、どの企業も「協力はするけどおカネはねえ」。

  そこで国とタッグを組んで大阪府市が頼りにするのが今年成立した「統合型リゾート法」で認められたカジノ。万博会場近くにカジノを誘致して、その業者に地下鉄延伸などの関連事業費を負担させてしまおうという魂胆なのだ。

  ♪こんにちは こんにちは…の歌声に乗せて今度はカジノがやってくる。ギャンブル依存症の人や青少年への影響を心配する府民に限らず、多くの人にカジノが暗い影を落としていることは確かなのだ。2025年万博はよし。だけど、どう考えてもカジノを組み入れた「未来社会のデザイン」は、描けそうにないのである。

(20018年11月27日掲載)
 
  

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