長期化の元凶 抗告の禁止と証拠の全面開示願う妹
-「名張毒ぶどう酒事件」第11次再審請求中-
岡美代子さん、96歳にお会いしてきた。1961年、三重県名張市の小さな公民館で女性5人が殺害された「名張毒ぶどう酒事件」で死刑囚となり、2015年、89歳で獄死した奥西勝さんの妹。いま亡き兄の後を継いで第11次再審請求中だ。
岡さんを訪ねた理由はもちろん、党の法案事前審査で「自民党は法務省のためにあるんじゃないぞ」「不誠実だ!」と怒号が飛び交う再審法の改正についてだった。
紛糾の理由は、再審開始が認められても検察が際限なく繰り返し、長期化の元凶といわれる抗告の禁止と証拠の全面開示だ。
岡さんの兄、奥西勝さんも2002年第7次請求で名古屋高裁が再審開始を決定。ついに扉が開かれたと思われたが、検察が異議申し立て。最高裁で決定取り消しが確定して再審への道は閉ざされたが、この決定までにも11年かかっている。
兄亡き後を継いで今年1月、第11次再審請求を行った岡さんは「早くええ方向に向いてくれたらうれしいねんけどなぁ」と、再審法改正法案の検察の抗告全面禁止に望みをつなぐ。
また、袴田事件では20年以上たってからとはいえ、600点もの証拠が開示されたが、岡さんが「あることはわかっているのに出してくれん」と嘆く再審事件の証拠開示のあり方については、いまも名古屋高裁で審理が続いている。
名張市と隣りあった山あいの新緑の村。ウグイスの鳴き声にまじって、いまは弁護団から「長生きが仕事」と言われている岡さんの「私の命がある間に、兄にええ話をしてやりたいなぁ」という声が流れる。だが、ふっと目を閉じて「あん人たち(検察)は私が死ぬのを待っとるんやろな」とも。
袴田巌さん無罪まで58年、福井女子中学生殺人事件の前川彰司さん38年。奥西さん事件から65年。それでも自民党の事前審査で法務・検察の走狗となった議員たちは、「検察の抗告を禁止するな」「証拠開示もこれまでどおり」と胴間声を張り上げるつもりか。
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2026年5月4日(月)掲載/
次回は5月18日(月)掲載です)
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