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2025年11月 3日 (月)

おもろいことをアホになってやってみる学風

-ノーベル賞に京大出身2氏-

 今年のノーベル生理学・医学賞は大阪大特任教授の坂口志文さん。化学賞は京都大特別教授の北川進さんが受賞。来月10日、スウェーデン・ストックホルムの授賞式に臨まれる。 
 
 2人とも京大卒。それについて毎日新聞の「なるほドリ」の欄が〈ノーベル賞受賞者 東大抜き京大最多の10人 「自由の学風」モットー〉と書いていた。それによるとこれまでの受賞者30人のうち京大は10人。東大9人。化学賞など自然科学では京大10人、東大6人と京大が圧倒している。

 記事を見て20年以上前、数学者で独特の弁舌、森毅京大教授とラジオ番組の審査でご一緒したとき、「ノーベル賞は、なぜ東大より京大が多いのか」が話題になったことを思い出した。

 森先生は即座に「京大の方がアホが多いからや」。先生によると東大、京大にくるお利口な学生は早々に教授が教えることなど習得してしまう。さて、そのあとどうするか。自分なりにその先を勉強するか。それとも何かおもろいことをアホになってやってみるか。京大はそのアホの数が東大よりはるかに多いという。

 ノーベル賞級の研究には、そうした飛び抜けた発想が必要だと言う。そういえば制御性T細胞で受賞した坂口さんも「なんでだれもしない研究を」と不思議がられていたという。

 さて、あのとき、そんな京大生気質を語りながらも森先生は「そやけど近ごろは本物のアホがふえてしもて」と顔を曇らせたのだった。

 締め切り厳守と言っておいたのにゼミ論文を遅れて持ってきた学生を叱りつけながら「もし帰り道に落ちとったら、預かったボクが落としたと思って拾うやろな」。

 卒業がかかっていた学生は満面笑顔で研究室を飛び出して行ったのだが、ものの5分もしないうちに息せき切って戻ってきた。「先生、どこに落としておいたら拾ってくれますか!」。

 あれから約四半世紀。いま京大生は? 泉下の森先生に代わって坂口さん、北川さんに、ぜひ聞いてみたい。

 

(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2025年11月3日(月)掲載/次回は11月17日(月)掲載です)

 

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