背番号7、その後ろ姿が残してくれたもの
-巨人長野選手の引退-
巨人にとって今季最終戦となったクライマックスシリーズ、DeNAとの第2戦。延長11回、4時間31分の試合はもう1つ、心にしみるものを残してくれた。
チャンスのたびにベンチの最前列で声を張り上げ、戻ってくる投手のお尻をポンとたたく長野久義選手40歳が、テレビに大写しになっていた。
その姿に、試合終了を待って長野選手夫人で旧知のテレビ朝日アナウンサー、下平さやかさんにメールを入れさてもらった。
〈背番号7。その後ろ姿に、あらためてさまざまなことを誓った若い選手も多かったことと思います…〉
翌日、下平さんからかかってきた電話は「きょうは直接、本人が話したいと言っていますので」。その電話の向こうで長野選手は「まだ球団や監督、親しい人にしか言っていませんが、引退を決意しました」。
突然のことに「いや、まだまだ」と言う私に「それも考えましたが、もう悔いはないので」。結局、私は「今後も野球界のために」と言うのが精いっぱいだった。
大学、社会人、2回のドラフト会議で他球団からの指名を丁重に断ったうえで果たした巨人入り。新人王や首位打者、ゴールデングラブ賞に輝きながら、2019年に人的補償で広島へ。若い選手に「野球以外のことなら、なんでも相談してください」と笑わせて、巨人に戻るまでの4年間、しっかりチームに溶け込んだ。
長野選手はアオダモの木のバットを愛用。1試合で3本折ったという逸話を持ちながら、成木まで60年かかるアオダモの育成に協力。私が東京6大学野球なども植林に取り組んでいるとテレビで話すと、下平さんを通じてお礼の言葉が届いた。
日刊スポーツの為田聡史記者が〈長野選手は失投、甘い球という言葉を嫌った。「相手投手に失礼だと思う」が、その理由だった〉と書けば、読売新聞(大阪版)の見出しは〈強さと優しさ 背中で見せ〉だった。
―野球は、いろんなことを学ばせてくれる。
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2025年10月21日(火)掲載/次回は11月3日(月)掲載です)
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