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2025年7月

2025年7月28日 (月)

検察官失格の検事に独自ルールを

-前川さんやり直し裁判に思う-

 死刑囚から無罪が確定した袴田巌さんの姉、ひで子さんから贈られた青い帽子を高く掲げる前川彰司さん(60)。私もかつて現地を取材した福井中3殺害事件で7年間服役した前川さんのやり直し裁判は、名古屋高裁金沢支部が無罪を言い渡し、検察が上告を断念すれば8月1日、前川さんの無罪が38年ぶりに確定する。

 増田啓祐裁判長は判決のあと、「1審の無罪判決が確定した可能性のある事件でした。長期間ご苦労をかけて申し訳なく思います」と深々と頭を下げたという。

 私は、その姿勢を評価する一方で、ことここに至って、なぜ裁判官は猛烈な怒りを検察にぶつけないのか。いら立ちが募る。
 判決で増田裁判長は、控訴審で前川さんを犯人に仕立て上げるための検察側証人に警官が現金を渡したことについて「到底看過できない」と批判。

 さらに事件当日、前川さんにアリバイがあったとする捜査報告書を、検察も把握しながら隠していたことについては「公益を代表する検察官として、あるまじき不誠実で罪深い不正」と、検察官失格の烙印を押している。

 判決公判だけではない。昨年の再審決定で、山田耕司裁判長は前川さんのアリバイを隠していた検察に「事実に反することをぬけぬけと主張し続けている」と断罪。裁判官が検察をここまで罵倒するのは、長年だまされてきたことへの怒りがさく裂したとしか言いようがない。

 ここまで来たら、議員立法による再審法制定や法務・検察主導の法制審議会の審議を待たずに、裁判所は裁判官対検察官の独自のルールを作るべきではないか。

 重大な証拠隠しがあった検察官は、それ以降、公判立ち会い検事として認めない。公判途中で証拠隠しが発覚した場合、いったん裁判を打ち切り、起訴、疎明資料の提出からやり直させる―。

 当然ではないか。検察官失格の検事に、ぬけぬけだまされっ放しの裁判官に裁かれる市民は、たまったもんじゃないからである。

 

(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2025年7月28日(月)掲載/次回は8月11日(月)掲載です)

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2025年7月15日 (火)

フジに失望しても絶望はしていない

-日枝氏が出ない検証番組  映像などオープンに-

 テレビ報道について2つの思いを抱いた。先日、日本民間放送連盟賞近畿地区報道部門の審査をした。今年もまた、取材対象によっては数年がかりになるドキュメンタリーに取り組む記者の姿に心打たれた。

 その一方で残念というより心底、憤りを覚えることがあった。このままではテレビは確実に見放される。

 一連の問題を受けて、フジテレビは先週日曜日、検証番組「~反省と再生・改革~」を1時間45分かけて放送した。

 役員など要職にあった人が女性社員を指名、接待要員のようにしていた人もいた。底無しの倫理観にあらためて怒りが湧いてきた。だが、この番組、そうしたことへの反省は盛り込まれていたが、検証番組としてはまったく体をなしていなかった。

 多くの人が注視していた日枝久元取締役・相談役が番組に登場することはついになかった。40代で局幹部となり、会長時代の24年間で8人の社長の首をすげ替えたという日枝氏。

 この権力者について役員に「逆らったら大変なことになる」などと語らせながら、「番組は日枝氏に3度取材を申し込んだが、応じることはなかった」と、一片の取材依頼書を見せて終わっている。

 そもそも組織の不正を検証する番組が、責任ある人物にふれないままで成立することは絶対にあり得ない。

 だが私は、失望しても絶望はしていない。記者の中から「日枝を突っかけ(自宅や出先で直撃)させろ」という声が出たはずだ。日枝氏抜きの検証番組に「恥ずかしくないのか!」という言い合いもきっとあった。

 そしてここで大事なことは、記者やカメラマンの本性、本能として、必ずだれかが音声や映像、最低でもメモ書きを残しているはずだ。ぜひそれを洗いざらいオープンにしてほしい。そこから噴き出してくる社会の声に、どう応えるのか。フジの再生・改革の第1歩は、その時踏み出される。

 

(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2025年7月15日(火)掲載/次回は7月28日(月)掲載です)

 

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