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2025年2月17日 (月)

新聞 SNS テレビのバトンリレー

-読売新聞静岡支局のスクープ-

 出演している静岡朝日テレビの「とびっきり!しずおか」の控室に、読売新聞静岡支局のM記者が「お目にかかりたいと思って1年たってしまいました」と言って訪ねてきてくれた。

 昨年4月、当時の川勝知事が新入職員の県庁入庁式で「野菜を売ったり、牛の世話をしたりとかと違って、みなさんは知性が高い」と訓示。この発言を読売のM記者だけが問題ありとしてスクープした。と言っても、当初は朝刊静岡県版のみの囲み記事。ところがその日朝から事態は急展開。知事の電撃辞任にまで発展した。

 辞任のニュースを報じる番組で私は「記者に絶対欠かせないのが人権感覚。ひとり、この発言を取り上げた記者にエールを贈りたい」とコメント。それを聞いてM記者は、ひと言私にお礼を言いたかったという。

 「そうか、キミだったか」と言う私にM記者は少し説明を加えてくれた。県版だけ、しかも「議論を醸しそう」という控えめな記事だったが、この日早朝、読売オンラインがスクープとしてトップ扱いで取り上げた。

 するとこれを読んだ電子版の読者がX(旧ツイッター)に「牛を飼っている人やその子どもはどんな気持ちか」「許せない! 知事がまた暴論」などと次々に投稿。それが拡散されていく中、Xをチェックしていたテレビ各局のスタッフも「あの(川勝)知事の発言だけに、これは大問題に」と東京からもクルーを走らせたという。

 「知事辞任とは思いもしなかったけど、地方版の小さな記事が見事にバトンリレーされていったのです」

 凋落が言われて久しい新聞。とかく問題を指摘されることの多いSNS。いま、まさに大問題を抱えて窮地に立つテレビ。だが、この3者が手を取り合って、傷つく人のために立ち向かうことだってできるのだ。

 聞けばM記者は来月、若手と新入記者にバトンタッチ、東京政治部に異動していくという。3月、4月は別れと出会いの季節。

 ―もうすぐ春ですね

 

(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2025年2月17日(月)掲載/次回は3月3日(月)掲載です)  

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