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2025年1月

2025年1月20日 (月)

やっと言えること まだ言えないこと

-阪神淡路大震災から30年 神戸1・17のつどい-

 阪神淡路大震災から30年。神戸・東遊園地の1・17のつどいで最初に出会った方の言葉は「震災の爪痕さえ、残っていないでしょ」。

 会場の一部にはルミナリエの美しい壁。まわりは高層ビルにタワーマンション。だけど人々の心のなかは、少し違っていた。親子4人が連れだった中の息子さんは、震災で母と弟を亡くして、この日、遺族代表の言葉を述べた長谷川元気さんの幼なじみ。「泳ぎやキャンプに行ったこと。元気な保育士だったお母さんも忘れてないよ、と伝えたくて」。

 娘さんと手をつないだ女性は「10歳のとき被災した私とこの子が同じ年になって、これから私の30年をしっかり伝えていこうと、ここに来ました」。階下で寝ていた1歳の娘と母を亡くしたという男性は「2、3年前まで取材は断ってきました。だけど孫に覆いかぶさってアザひとつ作らせずに亡くなった母のことを知ってほしくなって」。そう言って涙をあふれさせた。

 この日出演した東海テレビは地震当日、野戦病院と化した県立淡路病院の生々しい映像を初めて放送した。15分も懸命にCPR(心肺蘇生)をしても回復しない患者に、外科部長の「ストップ。次の人にかかろう」という厳しい声が医師の背中に飛ぶ。究極の命の選択、トリアージの原点ともいわれた救命救急医療の現場だ。

 このほかにも、いくつかの震災特番は兵庫県内の消防本部が生き埋め現場で「もう呼びかけに応答がありません。班は別の要請現場へ」と救急隊員が目を赤くして深々と頭を下げる映像を初めて公開していた。

 これらはいずれもご遺族への配慮から、やっといま公開に踏み切れたに違いない。

 30年たって言えること。それでもなお、心の奥底にしまっておきたいこと。

 この日朝、日経新聞のコラム、「春秋」は神戸の詩人、安水稔和さんのこんな言葉を載せていた。
 
 これはいつかあったこと/これはいつかあること/だからよく記憶すること―。

 

(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2025年1月20日(月)掲載/次回は2月3日(月)掲載です)

 

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2025年1月 6日 (月)

敗戦から80年 戦争は絶対にするな

-「昭和20年に生まれて Born in 1945」-

 新年初のコラム。今年もどうぞよろしく。さて、2025年は戦後80年、昭和100年、阪神・淡路大震災30年…。さまざまに1つの区切りの年である。中でも感慨深いのは、私が生きてきた年月を同じくする、あの敗戦から80年である。

 それに先がけて東京新聞は、昨夏の終戦の日から「同じ歳月を重ねた戦後とどう向き合ってきたかを語ってもらう」という趣旨で「昭和20年に生まれて Born in 1945」を随時連載。第1回は作家の池澤夏樹さん。年内最後は俳優の松島トモ子さん。私も11月に登板させてもらった。

 3人はともに敗戦の1カ月前、昭和20年7月生まれ。当然、戦争の記憶はない。私に至っては、東京大空襲の後、静岡県三島市に疎開。そこで隣接する沼津の大空襲に遭って命からがら東京に逃げ帰った母親の話さえ戦争の苦労話の1つとしか受け止めてこなかった。

 それもあって、連載の記事では〈負の歴史教訓に 権力監視〉〈報道への圧力、忖度に危機感〉の見出しの通り、主に新聞記者時代に関わった「語り継ぐ戦争シリーズ」や、かつて先達が受けた言論弾圧の歴史について語らせてもらった。

 そんな私にくらべて池澤、松島おふたりの話は胸に迫る。トモ子さんを身ごもって8カ月の母を置いて父が旧満州から出征したのは、敗戦の3カ月前。ソ連参戦でシベリアへ。母子が祖国に戻った時、祖母はトモ子さんを見て「干からびたカエルの子」と言ったという。酷寒の地での父の死を知ったのは、その4年後だった。

 池澤さんは「基地を用意するということは裏を返せば挑発」と言って基地建設現場に自らも足を運び、基地反対の人々を「ずるずると戦争に行こうとする国の後ろ足にしがみついている」と高く評価する。

 戦後80年のこの年、私もBorn in 1945の1人として、この国の後ろ足にしがみついてでも書き続けていきたい。

 ―戦争は絶対にするな。

 

(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2025年1月6日(月)掲載/
次回は1月20日(月)掲載です)

 

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掲載日変更のお知らせ

あけましておめでとうございます。
いつも日刊スポーツ「フラッシュアップ」をご愛読いただき、誠に有難うございます。
2025年1月より、こちらでの掲載を日刊スポーツ掲載日の21:00に戻します。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

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