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2024年9月 4日 (水)

先生ほどステキな仕事はない

-33回目を迎える群馬の講演会を前に-

 文科省が公立小中学校の教員の残業代のアップや7700人の増員など待遇改善に乗り出したことを雑誌のコラムで取り上げようと、先生方についてあれこれ調べていて愕然とした。教員採用試験の倍率は小学校が2000年12・5倍だったものが2023年には2・3倍。中学が同17・9倍だったものが4・3倍と、見る影もなく落ち込んでいた。

 日ごろ「先生ほどステキな仕事はない」と言い続けている私が、なんで若者の心は先生という仕事から離れてしまったのか、とがっかりしていると、それを見越したように群馬県粕川村(現・前橋市)の元小中学校の先生、桃井里美さんから「今年の講演会は11月17日(日曜日)に決まりました」とメールが届いた。

 粕川での最初の講演会は1992年。3年前に30回を迎え、「ここでひと区切り」という思いもあったが、みなさんから「ぜひ続けて」という便りと一緒にシクラメンの鉢植えも届いて、そのかほりに誘われるように続行を決め、この秋は33回目。

 いつも講演会の会場や会が終わったあとに感想を寄せてくださるのは、桃井さんのような元先生。そして現職の先生方。さらには担任や特別支援学級で先生方にお世話になった若者や保護者のみなさんだ。

 その声には、先生という仕事に対するみんなの思いがにじみ出ている。

 〈教育の現場で、またがんばってみようという気持ちになりました〉

 〈今年で辞めようと考えていたのですが、もう少しやってみようと思いました〉

 年配の女性からは〈一度はリタイアしたのですが、校長先生にお願いされて、もう一度、若い先生のお役に立つことにしました〉 

 みんながこんな思いを持っているのに、なぜ若者の気持ちは離れてしまったのか…。講演会は昨年は会場とオンラインの2段構え。ぜひ会場外の方にもこんな声を届けたい。猛暑の中で、私は早くもシクラメンのかほりに引き寄せられている。

 

(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2024年9月2日(月)掲載/次回は9月16日(月)掲載です)

 

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