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2024年9月

2024年9月18日 (水)

おねだり知事の問題はそこじゃない

-公益通報者保護 あり方を問う-

 事態が明るみに出た当初から私は、問題はそこじゃないと言い続けてきたが、やっと県議会百条委員会もその点を追及し始めた。

 「おねだり知事もっくん」なんて異名もついた斎藤元彦兵庫県知事。ワインやカニのおねだりや、机たたきに付箋投げのパワハラはもちろんいけない。だが背筋が凍りついたのは、県の公益通報窓口に知事の行状を告発した県の前局長が死亡していることだ。告発を知った知事は、同時に名指しされた県幹部を使って〝犯人捜し〟。パソコンを押収して通報を認めさせた。 

 だけど現行の公益通報者保護法では通報を受けた人が秘密を漏らした場合にだけ罰則があって、例えばセクハラを告発された社長が社員を使って通報した女性を特定させても、法律は「するべきではない」としながら、おとがめはなし。通報者保護法どころか、実際は通報者あぶり出し法なのだ。

 実態を聞いた知り合いの女性は「身の毛がよだつ法律。私は間違っても利用しない」と切って捨てた。

 私が出演している東海テレビの番組で取材したところ、名古屋の公益法人の職員は国の補助金の不正請求を内閣府に通報したら、あろうことか内閣府が法人に公益通報があったと連絡。職員は法人から「葬り去ってやる」と脅されたという。

 また、和歌山市でも公益通報した市の職員が嫌がらせを受けて自死するなど、すでに何人もがこの法律の落とし穴にはまっている。
 さすがにメディアもこの問題に気づいて法改正を促す報道が出始めたが、それを見て、またびっくり。〈公益通報者保護 罰則を検討 消費者庁〉(朝日新聞)。

 なんと知事のパワハラも会社内のセクハラも、15年前、マツタケなど食品の産地偽装が問題になって設けられた消費者庁が、いまもって所管しているのだ。

 連日、浮かれた報道が続く与野党の総裁、代表選。本来の政治とメディアの役割は、そこではないはずだ。

 

(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2024年9月16日(月)掲載/次回は9月30日(月)掲載です)

 

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2024年9月 4日 (水)

先生ほどステキな仕事はない

-33回目を迎える群馬の講演会を前に-

 文科省が公立小中学校の教員の残業代のアップや7700人の増員など待遇改善に乗り出したことを雑誌のコラムで取り上げようと、先生方についてあれこれ調べていて愕然とした。教員採用試験の倍率は小学校が2000年12・5倍だったものが2023年には2・3倍。中学が同17・9倍だったものが4・3倍と、見る影もなく落ち込んでいた。

 日ごろ「先生ほどステキな仕事はない」と言い続けている私が、なんで若者の心は先生という仕事から離れてしまったのか、とがっかりしていると、それを見越したように群馬県粕川村(現・前橋市)の元小中学校の先生、桃井里美さんから「今年の講演会は11月17日(日曜日)に決まりました」とメールが届いた。

 粕川での最初の講演会は1992年。3年前に30回を迎え、「ここでひと区切り」という思いもあったが、みなさんから「ぜひ続けて」という便りと一緒にシクラメンの鉢植えも届いて、そのかほりに誘われるように続行を決め、この秋は33回目。

 いつも講演会の会場や会が終わったあとに感想を寄せてくださるのは、桃井さんのような元先生。そして現職の先生方。さらには担任や特別支援学級で先生方にお世話になった若者や保護者のみなさんだ。

 その声には、先生という仕事に対するみんなの思いがにじみ出ている。

 〈教育の現場で、またがんばってみようという気持ちになりました〉

 〈今年で辞めようと考えていたのですが、もう少しやってみようと思いました〉

 年配の女性からは〈一度はリタイアしたのですが、校長先生にお願いされて、もう一度、若い先生のお役に立つことにしました〉 

 みんながこんな思いを持っているのに、なぜ若者の気持ちは離れてしまったのか…。講演会は昨年は会場とオンラインの2段構え。ぜひ会場外の方にもこんな声を届けたい。猛暑の中で、私は早くもシクラメンのかほりに引き寄せられている。

 

(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2024年9月2日(月)掲載/次回は9月16日(月)掲載です)

 

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2024年9月 1日 (日)

日刊スポーツ「フラッシュアップ」掲載について

いつも日刊スポーツ「フラッシュアップ」をご愛読いただき、誠に有難うございます。
2024年9月より、こちらでの掲載を隔週水曜日の21:00に変更いたします。
今後とも、よろしくお願い申し上げます。

 

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