ウクライナ避難家族に「安心」を
-日本から停戦の叫び-
「好き嫌いはないみたいね」「先生もご飯好きでしょ」。ミアちゃん(4歳)は、母のマリッチ・ナタリアさん(34)と姉の3人でウクライナから岐阜県に避難してきた。おととしの春、幼稚園入園のとき、東海テレビのカメラの前で大泣きしていたミアちゃんは、いまではお母さんより日本語が上手だ。
ロシアのウクライナ侵攻から2月24日で2年。ナタリアさんのようにウクライナから日本に避難している人は、いま2099人。全世界の807万人に比べたら微々たる数だが、ここ1年で大きく変わったことがある。このまま日本にいたいという永住希望者が約4割と大幅に増えているのだ。
ナタリアさん家族も同様だが、悩みは深い。ウクライナ政府はロシアの侵攻後、18歳から60歳までのすべての男性の出国を禁止した。そうなると、「ロシアは侵攻をやめて。1日も早い停戦を」と願っている女性や子どもは国外に避難。昨年からのイスラエルのガザへの残虐行為も相まって、ナタリアさんたちの声がかき消されてしまうのでないかという。
だが、それは違う。こんなときこそ、「安心して日本にいてください。1日も早い停戦を、と私たちが世界に訴えますから」と約束することが平和国家、日本の役割ではないのか。
警察官をしているナタリアさんの夫は電話をしてくるたびに「これが最後かも」とつけ加えるという。侵攻から2年の日、朝日新聞の「天声人語」は、ウクライナの国民的作家の言葉、〈自分たちの一生は「戦前」と「戦中」の二つに分けられる〉を紹介していた。
「戦後」がなくて、いいはずがない。
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2024年3月4日掲載)
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