裏金問題で政治家につける薬なし
-自民党の派閥とカネ-
読んでいてうなずくことが少ない産経新聞だけど(失礼)、大阪では東京ではなくなった夕刊も健在。中でも1面のコラム「湊町365」は、なかなか楽しい。たとえば1月某日は―
〈中田カウス・ボタンの漫才。風邪をひいたから薬を飲もうとしたけど、風邪薬が風邪をひいていた(古くてだめになっていた)というボタンさんに、カウスさんがアドバイスする。風邪をひいた風邪薬に風邪をひいていない風邪薬を飲ませて風邪の治った風邪薬を飲めばいい―アホらしくもテンポのいい掛け合いに観客は爆笑…〉
もちろんこの日のテーマは自民党の派閥裏金問題。カネまみれの議員も顔を並べた〝刷新本部〟をやゆしてのこと。案の定、この数日後に出た刷新案は派閥の解消もなければ、不透明な政策活動費の廃止もなし。
派閥とカネの問題は、公選法にある議員本人の責任を問う連座制を政治資金規正法にも盛り込むほかないはずなのに、そこにはまったくふれていない。議員が国会で成立させた公選法の連座規定を政治資金規正法ではなぜできないのか。刷新本部の風邪薬は、みんな風邪をひいていたということか。
それにしてもカウス・ボタンさんに限らず、浪速のお笑いのなんと小気味よく痛快なことか。それにくらべて昨今のお笑い芸人の話題ときたら…古くてだめになった風邪薬どころではない。いやいやこんなことを書いていたら、こちらのコラムは「湊町」と違って、ぼやき漫才になってしまう。
話を派閥とカネに戻して、何にも刷新できなかった刷新本部。凡庸なオチにはしたくないけど「××につける薬はない」ということか。
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2024年1月29日掲載)
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