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2023年8月14日 (月)

こども家庭庁“10兆円”の行方は

-民間「こども食堂」に思う-

 三重テレビのニューススタジオ。先日のゲストは「こども食堂・太陽の家」代表の対馬あさみさんだった。7人に1人の子どもがおなかをすかしているいまの社会。だけど太陽の家は食堂だけではない。1人親家庭の悩み、保育園問題、コロナ離職、介護、いじめ、不登校…。子どもも大人も本音をぶつけあう。

 「だけど、それってみんな『こども家庭庁』がやるべきことじゃないの?」。コメントで思わず、私の最近の思いが口をついて出た。

 昨年、年間予算5兆円でスタートした「こども家庭庁」。これに加えて岸田政権は少子化対策に本年度5兆円の特別会計を組むことにした。

 だけどこども家庭庁が打ち出した「こどもまんなか」政策は、サッカー少年を応援する「Jリーグとのコラボ」だったり、子育て中の家庭を若者が訪問する「家族留学」。さらには博物館、美術館のこども優先レーンだという。一体これらのどこが、いじめや不登校、ワンオペ育児に悩むこどもや家庭のための施策なのか。

 5兆円もの少子化対策では、特別会計(特会)が亡霊のごとく現れた。特会は国会の審議を経る一般会計と違って、ノーチェックの便利なお財布。かつては道路やハコモノにバラまかれ、「母屋(一般会計)がおかゆをすすっているのに、離れ(特会)ではすき焼きを食っている」と批判されて縮小したものが復活してきたのだ。

 こども家庭庁と特会で合わせて10兆円。民間の寄付に頼るこども食堂にとって、仰ぎ見る金額ではないか。

 ちなみに取材させてもらった日のこども食堂のメニューは、安くて栄養満点、チンジャオロースと具材たっぷりいろいろおにぎりでした。

 

(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2023年8月14日掲載)

 

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