こどもホスピスがもっとできたら
-闘病2万人 施設は2カ所だけ-
命にかかわる病と闘っている子どもは、国内で常に約2万人いるという。手術やつらい治療。「おうちに帰りたい」という子どもに、親たちは「良くなったらね」と答える。そんな子どもたちに焦点を当てた朝日放送テレビ(大阪)の「こどもホスピス~いのち輝く〝第2のおうち〟~」が、私も審査員をつとめた日本民間放送連盟賞近畿地区報道部門で地区連盟賞に輝いた。
三角屋根にシロツメグサが生える敷地の「TSURUMI こどもホスピス」(大阪市)はオープンして6年。遊具にジャグジー風呂、家族で泊まれる部屋もある。民間の寄付で賄われ、これまで150組が利用した。
眼球のがんの8歳のアンリカちゃんが大好きになった友だちは50歳も離れた女性スタッフだった。「おうちに帰る」という悠歩くん(6歳)を抱き締めながらみとった両親は、後から施設の存在を知って足を運び、ずっと支援を続けている。
ドイツに駐在中に添い寝しながら夕青くん(1歳9カ月)を送った母親には死の直前、たった5日間、お世話になった子どもホスピス「レーゲンボーゲンラント」(虹の国」から日独の懸け橋になりましょうと、いまも命日にメールが届く。
心配していた神経がんが再発した大地くん(11歳)はドッジボールでボールを当てないことにしてくれたクラスメートに感謝しながら、「そんな気を使わなくてすむ、こどもホスピスがもっとできたらいいと思います」と、作文に書いた。
だけど子どもホスピスは、いま国内で、ここと横浜の2カ所だけ。地区連盟賞の作品が大地くんや親たちと、心ある方々の懸け橋になってくれたらと願っている。
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2023年7月24日掲載)
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