「病気になっても病院がある」論法
-大阪のカジノ計画-
「3日にあげず」とは辞書によると「間を置かず」とある。大阪のカジノ計画はギャンブル依存症防止のため、日本人は7日間で3回、28日間で10回までと決められている。紛れもなく「3日にあげず」。朝日新聞の「天声人語」ならずとも、みんなが不安に思うはずだ。
2029年、大阪湾の埋立地「夢洲」に開業予定の、このIR統合型リゾートという衣をまとったカジノ施設。きのう終わった統一地方選前後半戦のど真ん中、同じ夢洲で2年後に開かれる大阪万博の起工式があった翌14日、政府が計画を認定した。
カジノは万博と並んで、この地方選で破竹の勢いを見せた大阪維新、日本維新の会の目玉政策。政権のすり寄り、ご祝儀認定と言われても仕方あるまい。
カジノをめぐる不安は日本人客の入場日数ばかりではない。リゾートでカジノが占める面積は全体のわずか3%とされているが、その面積で国際会議場やシアターなど施設全体の年間売り上げ5200億円の8割、4100億円を稼ぎ出す算段という。そんなうまい話があるのか。捕らぬカジノの皮算用としか思えない。
その一方で、大阪府が全国初となるギャンブル依存症対策推進の条例を制定したことや、依存症になっても治療や相談を一括して受けられる拠点施設を設けるとしたことが認定につながったという。そもそも「病気になっても病院があるから大丈夫」という論法がなぜ評価されるのか、さっぱりわからない。
私はギャンブルそのものは否定しない。だが政権が党利党略のために進めることではない。まして国が音頭をとり、旗を振ってやるべきことではないはずだ。
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2023年4月24日掲載)
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