自然エネ100%へ 福島無言の決意
-原発事故から12年-
一昨日、東日本大震災は発生から12年。私は被災地、福島県の浪江、双葉、川俣町を2月中旬、コロナ禍以来、3年ぶりに訪ねてきた。
「道の駅 なみえ」は晴天に恵まれた土曜の昼とあって名物のなみえ焼きそばやシラス丼を求めて大盛況だ。生鮮食品店からキッズプラザまであるこの広大な道の駅の照明や給湯の電力の約3割は2年前、浪江に完成した世界最大級の「福島水素エネルギー研究フィールド」で作られた純水素燃料電池でまかなわれている。
もう1つ。これらの町を歩いて目に飛び込んでくるのは太陽光パネルを敷きつめたメガソーラーだ。20万枚ものパネルがまっ黒に田畑を覆って一瞬、ドキッとするところもある。原発事故で人々が追われ、荒れ放題の田畑。ならば、そこで原子力に代わって自然のエネルギーを生み出そうというわけだ。
水素や太陽光だけではない。小型水力ダム、地熱、景観や騒音で論議を呼んでいる風力。これらを使って、福島は2040年を目標に自然エネルギー100%県を目指すとしている。それは原発の新規建設、運転期間の延長という国の裏切りに、原発推進でもない、脱原発でもない、「原発のいらない社会」を目指す福島の無言の決意があるように思う。
愛知県日進市から川俣町に派遣され、原子力災害対策課長を務めたあと、野菜作りに転身した宮地勝志さんの畑。まだ吹雪の日も多いこの季節に、ハウスでホウレンソウ、露地でニンニクが青い芽をのぞかせていた。
そこに、まだまだ苦境のなかにありながら、新たな芽吹きの季節を迎え、半歩でも1歩でも、と前に進もうとしている福島の姿が重なって見えるようだった。
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2023年3月13日掲載)
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