「どっちもどっち」の声が漏れる
-立憲党員の鞍替え劇-
夕方の東海テレビニュースを終えての雑談。「ぼくらが取材したニュースが全国ネットで流れるのはうれしいけど、この1件、どっちもどっちだよな」といった声が漏れる。私もまったく同感だ。
2021年秋の衆院選で立憲民主党の新人として立候補した今井瑠々氏(26)。当時、被選挙権の最年少、25歳。ルッキズムのそしりを覚悟で言えば、かわいい女性だ。それまで岐阜選挙区5区のすべてが自民党という保守王国。加えて挑む相手は男女別姓反対、日本古来の家族制度の護持が信条の超保守派、古屋圭司氏。
私もこのテレビ局の選挙特番で彼女の選挙活動を追ったが、善戦したものの肉薄とまではいかず、落選。その今井氏がこの春の統一地方選で、なんと自民党の推薦で岐阜県議選に出馬を表明。野田聖子元大臣も同席して記者会見を開いた。
なるほど自民党の言う「敵基地攻撃能力」とはこのことか、と寒い冗談を言っている場合ではない。落選後、県連副代表の席を用意、月50万円の活動費も出していた立憲は激怒。離党届を突っ返して除名。活動費の返済も求めるという。
さて番組後の雑談の続き。「だけど、これがどこか地方の県で最年少の男性候補が対立していた政党に鞍替えしたところで、全国ネットどころかローカルニュースにもならないんじゃないか」。まさにその通り。どっちもどっちなんて言いながら、「女性、若い、かわいい」の3つのファクトがそろったから、メディアもこのドタバタに飛びついたのだ。
きょう23日から通常国会。しょせん、政治もニュースも、こんなもんさと片づけてしまってはいけない。自戒をこめて、そう思っている。
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2023年1月23日掲載)
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