市長の煮えたぎるような怒り
-静岡・裾野市 保育園児虐待-
市役所改革訴え当選
静岡朝日テレビの夕方ニュース、「とびっきり!しずおか」に出演していることもあって、このおぞましい事件を、より間近で見ている。
裾野市の「さくら保育園」で、保育士の女性3人が主に1歳児の園児に逆さづりにする、カッターナイフで脅すなどの虐待をしていたとして逮捕された。
直後、村田悠市長(35)は保育園の園長を犯人隠避容疑で告発した。そこに市長の煮えたぎるような怒りを感じる。園長だけでなく、市長はもちろん、保護者にも半年近く事件を隠し通した市の担当者をあぶり出そうという腹積もりなのだ。
市は今年6月に内部通報を受け、8月には目を覆いたくなるような15事例もの虐待行為を把握した。だが担当部長(発覚後更迭)らは、自分たちでとどめて部外に出さないことにし、一方で園は内部から保護者らに情報が漏れることを恐れて、10月に保育士全員に「一切口外しない」と書かせた誓約書を提出させた。
このため11月末、静岡新聞が一報を掲載、全国のメディアが押しかけてくるまで市長はもちろん、市民は何も知らされず、園児の母親の中には「あのときのアザはひょっとして…」と泣き崩れる人もいたという。
取材を続ける記者によると、村田市長は今年1月の市長選で自民党や連合静岡の推薦を受けて3選を目指した現職を相手に、市役所改革などを訴えて挑戦。県内最年少の市長となった。記者は「事件とは関係ないことですが」とつけ加えるのだが、痛さと苦しさで泣き叫んでいた園児がいることを承知で、すべてを隠し通した大人たちがいた。
事件が一層、どろどろとしておぞましく見えてくる。
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2022年12月12日掲載)
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