「新たな手口を学んだ悪党」再犯抑止策を
-川越ネットカフェ立てこもり-
先月22日、埼玉県川越市のネットカフェで女性店員にナイフを突きつけて個室に立てこもり、逮捕されたときダブルピースサインを突き立てていた長久保浩二容疑者(42)。じつはこの男、10年前の2012年11月にも愛知県の豊川信用金庫で女性客や職員を人質に立てこもって逮捕され、私も東海テレビの取材で現場に駆けつけていた。
この事件で懲役9年の刑で服役、4月に出所したばかりの男が「刑務所に行きたい。死刑になりたい」と、また引き起こした立てこもり。いま司法界では、こうした再犯事案が大きな問題になっている。
刑法犯は18年連続で減っているのに、罪を犯した人が再び犯罪に走る再犯率は49.1%。つまり2人に1人がまた事件を起こし、うち85%が5年以内の再犯なのだ。
立てこもり再犯男は信金事件で服役中、東海テレビの記者に手紙を送ってきているのだが、その中で「受刑者の多くは罪の大きさを感じることもなく、それどころか新たな犯罪の手口を学んだ悪党として出所して行くのです」と書いている。
まさに「おまえが言うか」ではあるが、ことここに至って抜本的な対策を立てるべきではないか。
先の国会で115年ぶりに刑法が改正され、懲役と禁錮が一本化されて拘禁刑となった。そこに新たに犯罪の誘惑に対するメンタルケア、社会復帰のためのカリキュラムの習得などを盛り込んだ教育刑の創設といったことはできないものだろうか。
再び犯罪に走った再犯者が刑務所に逆戻りするたびに新たな被害者が生まれる。私たちは犯罪の加害者にならないことは誓える。だが被害者にならないという保証は、だれにもないのだ。
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2022年7月4日掲載)
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