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2022年2月21日 (月)

お茶を濁すわけにも水に流すわけにもいかない

-「1億円選挙買収」疑惑-

 見上げたもんだよ、屋根屋のナントカ。見上げたもんだよ、これでも日本は法治国家―

 月曜朝の文化放送ラジオで腹立たしさのあまり、フーテンの寅さんのこんな口上を口にしてしまった。

 月刊誌の〝文春砲〟が暴いた「1億円選挙買収」疑惑。記事によると自民党京都府連は約10年前から衆参の国政選挙の直前に候補者からその選挙区支部の府議、市議1人につき50万円を納めさせ、それを府連が議員に配っていた。府議、市議が15人いれば750万円。

 広島の県議、市議100人をこつこつまわって28871万円をバラまいて、いま服役中の河井克行元法相が「この手だったらいいのか」と歯ぎしりしそうな話だ。

 だけど文春が入手した府連の事務文書には〈ダイレクトに議員に交付すれば、買収ということになりますのでマネーロンダリングするのです〉と書かれていて、この疑惑は、いわば自白調書つき買収事件。

 だが府連会長を2期つとめ、前回参院選で960万円も支出している二之湯智国家公安委員長は、国会での質問に「私の思いで寄付した。もう7年も前の話で、根拠は記憶にない」。

 それにしても、河井前衆院議員は検察を、二之湯参院議員は警察を、それぞれつかさどる元法相に、現国家公安委員長。これが法治国家の姿かと怒りが込み上げてくるではないか。ここは検察、警察がどう出ようが、先日、広島の県議、市議に「起訴相当」を突きつけた検察審査会の出番ではないか。

 再び寅さん。四谷赤坂麴町、ちゃらちゃら流れるお茶の水―この疑惑、お茶を濁すわけにも、水に流すわけにもいかないのだ。

 

(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2022年2月21日掲載)

 

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