みんなで健やかに育てていく社会に
-こども家庭庁 新設に思う-
15日の産経新聞朝刊1面を見て、オオッと声をあげた。〈新組織「こども家庭庁」〉。2022年、政府が新設する庁を当初言われていた「こども庁」ではなく、この名にするという。
その10日ほど前、私は、たまたまこの新設庁の青写真を描いている議員たちと会う機会があって、「『こども』に限定せず、ぜひ『家庭』も加えて」と結構、熱く語ってしまったのだ。
もちろん、それが影響したなんてまったく思っていないが、この国では幼稚園は文科省、保育園は厚労省、危ない通学路は国交省、こどもの人権は法務省と、所管という名の縄張りで、がんじがらめになっている。
そうしたなか私は、いじめに非行に引きこもり、介護疲れ、児童虐待…いや、事件ばかりではない。夫婦別姓に成人年齢の引き下げ。そういった問題を取材するたびにそれぞれの所管省庁ではなく、ドイツなどにある家庭省、「ひとつ屋根の下で起きることは何でも持ってこい」。そんな省庁ができないかと訴えてきた。
お会いした議員によると、いまのところ庁名を「子供」や「子ども」ではなく「こども」とすること。保育園も幼稚園も所管すること以外、ほとんど何も決まっていない、ほぼ白紙状態だという。
かえってそれがいいのではないか。政府は新設庁にどんなことをしてほしいか、広く国民の声を聴く。テレビは高齢者、子育て中のパパ、ママ。学校、幼稚園、保育園の先生、児童相談所の職員などに、どんな庁がいいのか、議論してもらう。
みんなの手で産声をあげさせ、みんなの手ですこやかに育てていく。そんな「こども家庭庁」も、また楽しいのではなかろうか。
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2021年12月20日掲載)
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