生徒 先生 保護者が本気で向き合って
-弥富市の中3同学年殺害-
厳しい作業だけど…
先週の東海テレビ(名古屋)「ニュースOne」は、いつもの特集コーナーを急きょ、弥冨市で起きた中学3年同学年殺害事件に差し替えた。まだ事件は闇に包まれたままだが、私が抱いている疑問と不審点をコメントさせてもらった。
加害者の生徒は、ネットで包丁を買ってリュックに入れていたと供述しているが、刃渡り20㌢、全長35㌢もの凶器を所持していることに、家族も学校もまったく気づかなかったのか。たとえそうだとしても、私の長い取材経験から、これだけの事件を起こそうとしたら大人でも足が震えるほど緊張する。そんな兆候はまったくなかったのか。
被害生徒に「嫌な気持ちにさせられた」としているが、直近10月のいじめについてのアンケートに他の生徒を含めてそうした記述はない。殺人事件に発展する事態の片りんさえ見えてこないアンケートとは何なんだ。
市教委も学校も、その日のうちに第三者委員会を立ち上げるとした。一見、中立性と公平性を担保したようではあるが、果たしてそれでいいのか。
これまで学校に1歩も踏み入れたことのない教育、法曹関係者、心理学者らが作成した調査報告書を押し頂いて、事件の全容解明、再発防止につながると思っているのか。
いま、事件がなぜ起きたのか、なぜ防げなかったのか、涙を流し、歯がみする思いで自らの胸に問いかけているのは第三者ではない、生徒、先生、保護者の3者ではないのか。つらくて、しんどいことだが、この3者が本気で向き合おうよ。
血のにじむ、厳しい作業になるだろうが、事件の真実は、そこからしか見えてこないように思うのだ。
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2021年11月29日掲載)
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