なんか違うぞ総裁選と衆院選
-報道姿勢を思う-
戦いすんで日が暮れて―。衆院選は終わった。だが、ひとりの有権者として、そしてメディアに関わっている者として、なんともフラストレーションのたまる選挙戦だった。出演しているテレビの情報、報道番組で選挙戦を取り上げても、候補者が選挙カーで声をからし、有権者とグータッチ。そんな場面を流すだけ。
それでもまだましなほう。番組によっては、選挙戦はまったく取り上げないところも出てきた。とかく批判の的になる大政党からの執拗で細かいクレームへの対応と、それにかかる時間のロス。ならば一切やめてしまえとなったのだ。
選管からの選挙公報もあれば、各政党の代表や候補者の政見放送もあるではないかと言うかも知れないが、無所属の候補には政見放送はない。それともう1点。連日、テレビが取り上げたあの自民党総裁選と視聴率をくらべてみたらいい。一体、どれだけの人が政見放送を見ているというのか。
その自民党総裁選では公開討論の場で、あるいはテレビ番組で、趣向を凝らして4候補にコロナ対策や安保・防衛、男女別姓。フリップや○×式で4候補の考えをわかりやすく伝えてくれたではないか。だけどこちらはみんなが1票を持っている国政選挙と違って、有権者の99%は投票権がない。
この時代の国政選挙。ここは各地の選管の出番ではないのか。ネットで選管主催の公開討論を配信したらどうだ。国政からその選挙区固有の問題、有権者が寄せた質問について議論してもらい、それをテレビも放映できるようにするのだ。
選挙は、すんだ。だが有権者とメディアがタッグを組んで、戦いはこれからだ。
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2021年11月1日掲載)
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