減る感染者 増える若者ドタキャン
-無駄になるワクチン-
コロナ禍をめぐって、ホッとするニュースが相次いでいる。最悪のころ1日2万5000人を超えた全国の感染者は1000人台、25分の1まで減っている日も出てきた。
なぜこんなに減ったのか。先日NHKニュースでは、医学関係者がさまざまな要因を挙げる中、政府の専門家会議の脇田隆字座長が「若者で増えて、若者で減った」と解説されていた。活発で無症状が多い若者が感染すると一気に感染者が増え、一方で若者へのワクチン接種など対策が進むと全体の感染者が減るという。
そんな中、私の地元、大阪・豊中のS医師からまたメールをいただいた。
〈私の医院で予約者の中から6人のドタキャンが出ました。窓口予約ではめったにないのですが、6人はいずれもネット予約の若者で、しかも前日の夕か夜という直前のキャンセルです〉
メールを読みながら数カ月前、東京で接種会場に列をなしていた若者を思い出した。その若者がなぜ?
〈急激に感染が収まりつつあるなか、迷っていた若者が「やっぱりやめとこ」と軽い気持ちでキャンセルしているようです。ただドタキャンですと、キャンセル待ちの人への手配も難しいのです。またワクチンは1バイアル(瓶)6人分ですので無駄にならないようにするのは至難の業です。そろそろこうしたワクチンは医療従事者の3回目接種にまわすということも考える時ではないかと思います〉
1人ひとりの若者に悪気はないだろうが、いまも世界で数億の人がワクチンを心待ちにしていることを忘れないでほしい。いずれにしろ、油断大敵。コロナ禍対策はいまが正念場、という気がしてならない。
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2021年10月11日掲載)
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