佐賀県警に特別監察を
-殺人事件伝えぬ鳥栖署-
ここ10日ほど九州の新聞、テレビからコメントの依頼が相次いだ。佐賀県鳥栖市で9月10日白昼、79歳の女性が隣家の庭先で頭から血を流して倒れているのが見つかった。13日になって、大分市の警察署に長崎市の長崎大4年の学生(25)が「佐賀で女性をハンマーで殴って殺した。相手はだれでもよかった」と自首、14日に逮捕された。
この間、ほぼ5日。佐賀県警も鳥栖署もマスコミにはもちろん、近隣住民にも事件を一切伝えていなかった。犯人の学生は自宅で放火とみられる火災が起きたあと、福岡に出て鳥栖市中心部にはタクシーで移動。現場までの1・5㌔で襲撃相手を物色していたという。付近には小中学校6校があり、1校は下校時間直前だった。
近所にも事件を伝えなかった理由として県警は、遺体の傷から殺人とはわからなかった。また大学医学部の都合で土日に解剖できず、死因が特定できなかった―などとしている。佐賀県警は、頭に2カ所もハンマーで殴られた骨折があっても他殺とは思わないのか。医学部が土日休みなら、凶悪事件の捜査も2日間空白。私の長い事件取材でこんな警察は見たことがない。
佐賀県警と鳥栖署といえば2019年、主婦が暴力団を装う男女に脅迫されていた事件で、親族が10回以上捜査を懇願しても被害届さえ出させず、結果、主婦は凄惨な遺体で見つかった。
今回の事件のあとも犯人が市民に無差別に襲いかかったら、県警はどんな言い訳をする気だったのか。2度あったことが3度になる前に警察庁がなすべきことは、一刻も早く佐賀県警の特別監察に入ることだ。メディアは今後を注視している。
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2021年9月27日掲載)
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