コロナ対策だけでも超党派でできないか
-総裁選〝劇場〟に思う-
メディア、とりわけテレビは自民党総裁選劇場だ。1政党の総裁選びとはいえ、よほどのことがない限り次期首相となるのだから、それもまたむべなるかなだ。
今週末には候補が出そろい、政策発表。ただ投票は国会議員と党員、党友だけ。一般の有権者は政策をじっくり吟味して1票を投じることはできない。どんなにおいしそうに見えても、絵に描いた餅なのだ。
だけど本当に私たちは指をくわえて見ているしかないのか。ふと、やりようによっては総裁選を少しは身近に引き寄せられる、そんな気もしてくるのだ。
特定の候補を応援する気はないが、たとえば岸田文雄前政調会長は感染症対策として「健康危機管理庁」の創設を打ち出している。感染者が減っているとはいえ、いまも7割近くの人が自宅に置かれたまま。コロナ禍は、この国の行政機構の破綻をあからさまにした。
一方、総裁選で影が薄い野党は4党共闘体制を組むと同時に、立憲民主党は衆院選に向けて公約を発表。その中で首相官邸に「新型コロナウイルス対応調整室」の新設をうたっている。
だったら、この点は岸田案に乗って超党派で健康危機管理庁設立に協力することはできないか。野党も賛同しているのだから総選挙後にすんなり設立が決まり、感染者が自宅でバタバタと死んでいくこの事態は少しは改善されるのではないか。
それによって野党の公約も現実味を帯びるし、何より総裁選に票を投じる人たちがどの候補なら野党とも連携、政策を実現できるか考える、ひとつの指標になるはずだ。
絵に描いた餅も、やりようによって、おいしくいただくことができるのだ。
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2021年9月13日掲載)
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