近未来の観戦? 無観客もいいもんじゃないですか
-東京五輪あと1週間-
昨秋、「オランダより友来る」と書いた今野充昭さんから東京五輪に合わせて帰国したとメールが届いた。
空手普及のためオランダに渡って約半世紀。ここ4年間は過去3回女子オランダチャンピオンになったシスカ選手(37)のコーチをつとめていたが、残念ながらシスカ選手は五輪代表切符を逃し、今野さんは選手帯同とはならなかった。
メールには前回東京五輪で外国人初の柔道金メダリストとなったオランダ人、「あのヘーシンクさんの偉大さにあらためて頭が下がります」と書かれていた。
コーチとしての空手参加はかなわなかったが、オランダ人のご夫人の「行かなかったら、一生後悔するんじゃなぁ~い?」の声に感謝しての帰国。14日間のコロナ隔離もすんで、いまは旧知の方の都内のお屋敷に滞在。「いやぁ、無観客もいいもんじゃないですか」と電話の声がはずんでいる。
酷暑のなか、チケット片手に走りまわることもなく、柔道、水泳、卓球…。テレビをザッピングする優雅な日々。「これが近未来の五輪観戦では」という。
たとえば今回の開会式は、世界で10億人がテレビで見たといわれている。有観客で5万人がスタジアムに入ったとして、わずか2万分の1。これからは開催地はアテネに定着させるとか、あるいはアフリカ諸国に競技場やプールを次々に建設、試合は全世界にテレビで配信する。今野さんは、東京大会をきっかけにそんな提案をしてみたら、という。
その今野さんが楽しみにしている空手の試合は5日から。いろいろあった、いや、いろいろありすぎた2020東京五輪も閉会式まで残すところ、あと7日だ。
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2021年8月2日掲載)
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