市民裁判員入れても「侵害」言えるか
-岡口判事の弾劾裁判所訴追-
衆参両院議長、総理大臣、最高裁長官の三権の長をもってしても罷免できない人たちがいる。憲法でその身分を保障されている裁判官だ。ただ1つ、国会議員14人からなる弾劾裁判所が3分の2の賛成で罷免を決定した時のみ、その職を失う。
国会の裁判官訴追委員会は16日、仙台高裁の岡口基一判事(55)を弾劾裁判所に、一般の刑事事件の起訴にあたる訴追することを決定した。さて、その訴追の理由、わかりやすくいうと起訴状の内容だ。
岡口判事は2015年に東京・江戸川区で殺害された女子高生の命日にあわせて「首を絞められて苦しむ女性に性的興奮を覚える、そんな男に無惨に殺された」とSNS上に投稿。遺族が「死者を傷つけた」として訴追を申し立てていた。
岡口判事は、それ以前にも白いブリーフ、裸の上半身を自ら縄で縛った写真をSNSに投稿。この件と女子高生の件で2回、最高裁から戒告処分を受けている。
だが、判事や代理人は戒告や今回の訴追に強く反発。「裁判官の独立に対する脅威であり、国民の権利への侵害」と徹底抗戦の構えだ。
さて―。女子高生を傷つけ、いかがわしい写真の判事を辞めさせたら、果たして自らの権利も侵害されたと思う国民はいるのか。
そこで今回、私は提言しようと思う。国権の最高機関の、そのまた上ともいえる弾劾裁判に裁判員制度同様、一般市民の裁判員を入れるのだ。そこで罷免が決定しても岡口判事は「ブリーフ姿の私であろうと、辞めさせるのは国民の権利の侵害だ」と言い張れるのか。
そんなしなやかで、したたかな発想が、民主主義には求められているように思うのだ。
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2021年6月28日掲載)
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