あらためて「家庭省」の設置を訴える
-「ヤングケアラー」-
ヤングケアラーという言葉を聞いて、恥ずかしながら初めてそういう若者がいることを知った。介護が必要な祖父母や両親。障がいのあるきょうだいの介助。そうしたことのケアに時間を費やされている中高校生について先ごろ国が初めて実態調査。政府はこれに基づいて、今月中にも支援策を打ち出すことにしている。
こうしたヤングケアラーは国の調査で中学生の17人に1人。高校生で24人に1人となっている。ケアは食事などの家事から保育園の送迎などさまざまで、平均1日4時間。7時間になるという高校生もいた。
この問題、私が出演しているテレビ番組でも取り上げ、知的障がいの弟に頼られ、家を出て大学に進学することに迷う女子高生や、中学時代から成人するまで1人で難病の母を支えてきた女性を取材した。
こうしたヤングケアラーに共通するのは、介護や介助は当たり前のように自分の仕事と思っていた。相談するにしても、どこの、だれにしたらいいのか、中高生の知識では思いつきもしなかったという点だ。
そこで私はスタジオのコメントで、このコラムをはじめ、ここ十年来、あちこちで書いたりしゃべったりしている「家庭省」の設置を、あらためて訴えさせてもらった。
ケアに関して、高齢者介護と障がい者介助は同じ厚労省でも窓口が違う。中高生の問題は文科省。大人だって戸惑うのが実情だ。いま国が考えている子ども庁では事足りない。介護や介助はもちろん、育児に不妊、DVに性暴力。ひとつ屋根の下で起きることはみんなもって来い、そんな家庭省がほしい。若きケアラーの苦悩は、そんなことも訴えている気がするのだ。
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2021年5月24日掲載)
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