通天閣より首相官邸に赤信号を
-進まぬワクチン 変異株対策-
先週、大阪の通天閣と万博記念公園・太陽の塔に赤信号が点灯された。まさに新型コロナ感染は非常事態だ。ただ自治体としては、もはや打つ手がないのではないか。
物事を戦争に例えるのは好きではないが、変異ウイルスという、これまでにない攻撃力をもった爆撃機が襲ってきている。そんな中、一自治体の大阪に何ができるのか。
午後8時までに時間短縮された飲食店でのマスク着用の義務化や、アクリル板の設置。そして、これらが実行されているかをチェックする1組2人の「見回り隊」を20組編成した。
だけど飲食店は大阪市内だけで4万店。1組当たり2000店を、まん延防止期間中の1カ月でどうやって見回れというのか。戦時中のすり切れた映像で見る米軍機の空襲に、竹やりとバケツリレーで立ち向かう姿を思い起こすではないか。
いま自治体ではなく国が真っ先に実行すべきことは、ワクチンの接種と変異ウイルスのあぶり出しだ。これで立ち向かうしかない。なのに4月初め時点で、ワクチンの接種率は国民の0・65%。これはOECD加盟37カ国中の37位。世界142の国と地域の中で102位。途上国のはるか後ろだ。
さらに猛威をふるう変異ウイルスのあぶり出しに、政府は各都道府県にセンターを設置。PCR検査陽性者の40%を調べるとしていたが、まだ半分も調べられていない。
そんな中、きょう12日から東京、京都、沖縄の3都府県でもまん延防止の重点措置が取られることになった。
医師や学者が第4波の襲来を警告してから3カ月。政府はいったい何をしてきたのか。いま真っ赤な信号で染め上げるべきは、首相官邸ではないのか。
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2021年4月12日掲載)
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