コロナ禍の「がんばろう」
-阪神淡路大震災から26年- 10代、20代の語り部
先週の日曜日は阪神淡路大震災から26年。神戸・東遊園地で催された「1・17追悼のつどい」に向け、今年はテレビ中継に合わせて大阪の自宅から黙とうをさせていただいた。
つどいでは、ひとり娘の桜子さん(当時6歳)を亡くされた加賀翠さんが大学生になった弟、亮(たすく)さんとともに遺族を代表して献花。追悼文はコロナ禍の下、朗読ではなく震災発生の午前5時46分、神戸市のHPにアップされた。
昨年、このコラムにも書いた加賀さんは、いま取材に訪れる新聞、テレビの記者は震災を知らない20代30代が大半。「だから、まず大谷さんたちのテレビ番組のDVDを見てもらうの。みんな目を赤くしておられますよ」と話していた。
加賀さんの言葉以上に若者の姿が目についた今年のつどい。震災を知らない20代が誘い合わせて竹筒に灯をともし、その横で昨年できたグループ、「希望の架け橋」の10代から20代の語り部が、聞き取りをしてきた被災者や遺族の思いを静かに話して聞かせていた。
当日午後6時から関西ローカルで放送されたNHK神戸放送局制作の生番組、「いま伝えたい 阪神淡路大震災26年」のリポーターの女性は現場から「いま27歳、当時1歳だった私に震災の記憶はありません。ただそのとき、神戸に住んでいた曽祖母を亡くしました」と静かに語りかけていた。
コロナ禍の今年、つどいの会場に浮かんだ文字は、あの年の「がんばろう KOBE」に立ち返って「がんばろう」だった。いつの日か若い人と一緒に「あのときはがんばったね」と言い合いたい。そんなことを願う春はまだ遠き神戸である。
(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2021年1月25日掲載)
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