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2021年1月

2021年1月27日 (水)

コロナ禍の「がんばろう」

-阪神淡路大震災から26年- 10代、20代の語り部

 先週の日曜日は阪神淡路大震災から26年。神戸・東遊園地で催された「1・17追悼のつどい」に向け、今年はテレビ中継に合わせて大阪の自宅から黙とうをさせていただいた。

つどいでは、ひとり娘の桜子さん(当時6歳)を亡くされた加賀翠さんが大学生になった弟、亮(たすく)さんとともに遺族を代表して献花。追悼文はコロナ禍の下、朗読ではなく震災発生の午前5時46分、神戸市のHPにアップされた。

 昨年、このコラムにも書いた加賀さんは、いま取材に訪れる新聞、テレビの記者は震災を知らない20代30代が大半。「だから、まず大谷さんたちのテレビ番組のDVDを見てもらうの。みんな目を赤くしておられますよ」と話していた。

 加賀さんの言葉以上に若者の姿が目についた今年のつどい。震災を知らない20代が誘い合わせて竹筒に灯をともし、その横で昨年できたグループ、「希望の架け橋」の10代から20代の語り部が、聞き取りをしてきた被災者や遺族の思いを静かに話して聞かせていた。

 当日午後6時から関西ローカルで放送されたNHK神戸放送局制作の生番組、「いま伝えたい 阪神淡路大震災26年」のリポーターの女性は現場から「いま27歳、当時1歳だった私に震災の記憶はありません。ただそのとき、神戸に住んでいた曽祖母を亡くしました」と静かに語りかけていた。

 コロナ禍の今年、つどいの会場に浮かんだ文字は、あの年の「がんばろう KOBE」に立ち返って「がんばろう」だった。いつの日か若い人と一緒に「あのときはがんばったね」と言い合いたい。そんなことを願う春はまだ遠き神戸である。

 

(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2021年1月25日掲載)

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2021年1月20日 (水)

若者に思い伝えられていますか

-総理大臣も中高年も…-

 ついに11都府県に発令された新型コロナ緊急事態宣言。記者会見で菅首相が「感染者の半分以上が30代以下のみなさんです」と行動に注意を促すなど、若者への批判が高まっている。

 確かに先日の成人式でもコロナ禍の中、「今夜は仲間でオール(ナイト)だ」と叫ぶ若者もいた。ただ、そんな光景を見るにつけ、思い出すことがある。式典の妨害や酒瓶のまわし飲み。そんな騒ぎが始まったころから私は成人式の記念講演はお断りしてきた。若者の胸に刺さるような言葉を届けられないと思ったからだ。

 あるとき、テレビでそうした思いを話すと、局を通じて、その年の新成人の女性から手紙をいただいた。

 〈たしかにそんな人もいます。でも大多数の若者は、進路に迷い、恋に悩み、それでも前を向いて懸命に歩いてゆこうとしています。どうか、そのことを忘れないでください〉

 翻ってコロナ禍のもと、若者に矛先を向けている私を含めた中高年は、思いをしっかり伝えられているだろうか。緊急事態の延長を問われて「仮定の話にはお答えできない」と突っ返す首相の言葉を、若者ならずともみんながどう受け止めるか。

 クリスマス直前、ドイツのメルケル首相の全身を震わせた演説が胸をよぎる。

 「あれが祖父母との最後のクリスマスだったなんて絶対にさせたくない。それだけは避けたいのです」

 いま、私たちが若者になすべきことは、「あなたをこよなく愛してくれている祖父母、ご両親、きょうだい、恋人。そしてなにより、あなた自身のために、どうか行動を慎んでください」。

 そんな言葉を投げかけることではないだろうか。

(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2020年1月18日掲載) 

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2021年1月13日 (水)

今の政治に命と生活を託せるか

-21年を厳しい審判の年に-

 月曜日の紙面に引っ越したこのコラム、今年もどうぞよろしく。

 さて2021年は騒然とした中で明けた。8日に新型コロナ対策で2度目の緊急事態宣言の発令。私事になるが東京のテレビ、ラジオは新年に1度スタジオ出演しただけで、以後は名古屋局も含めて、すべて大阪からのリモート出演となる。

 その新年の東京のテレビ番組で、感染症の専門家は、政府のコロナ対策を「小火(ボヤ)ですむはずのものを大火事にしてしまった」と厳しく批判していた。菅首相は12月25日の記者会見で緊急事態宣言は「必要ない」としていたのだ。だが、大晦日には東京の感染者は1337人。年明けに2000人を超え、大火は手のつけようがなくなった。

 だが、そんな緊急事態になっても菅政権は野党の要請を突っぱねて12月初めから肝心の国会は閉じたまま。その魂胆は、すぐにわかった。閉会直後に安倍前首相の「桜を見る会」の検察の本格捜査と前首相の取り調べ。国会を開いていたら野党の集中砲火を浴びる。そこで国会を閉じて、小火どころか火事をなかったことにしたのだ。

 その緊急事態宣言の内容が決定される日の明け方、アメリカの連邦議会議事堂にトランプ大統領の支持者が乱入、4人が銃で死亡。議員はガスマスクをつけて避難したという一報が飛び込んできた。大統領は「暴力は認めない」とツイートしたが、乱入の直前にホワイトハウスの広場で群衆に檄を飛ばし、それが火に油をそそいだことは間違いない。

 日本に話を戻して、2021年は衆院選や7県知事選の選挙イヤー。果たして、いまの政治に私たちの命と生活を託せるのか。厳しい審判の年にしようではないか。

(日刊スポーツ「フラッシュアップ」2021年1月11日掲載)

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主な活動予定2021年1月~

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日刊スポーツ「フラッシュアップ」転載について

2021年1月から、日刊スポーツ「フラッシュアップ」は毎週月曜日掲載になりました。
それに伴い、当ブログへの転載曜日を木曜日から水曜日に変更致します。
今後ともご愛読下さいます様、よろしくお願い申し上げます。

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