日刊スポーツ「フラッシュアップ」 大谷昭宏
「ある意味コロナに勝った」の声に胸が熱く
‐29回目講演会はオンライン開催‐
「これはある意味でコロナに勝ったってことじゃないですか」。初めてのオンライン講演会に参加してくださった方、その講演会を支えてくれたスタッフから期せずして聞こえてきたこんな声に胸が熱くなった。
赤城山麓に近い群馬県粕川村(現・前橋市)で小学校の先生をされていた桃井里美さんのお誘いで1991年から続いている私の講演会は、今年で実に29回目。ところが春先から暗雲が垂れ込めていた。コロナ禍の中、いつもの粕川公民館を密にするわけにはいかない。
だけどそんな中、期せずして声があがった。公民館と大阪の私の事務所をオンラインでつなごうというのだ。
回線のテストに、進行の確認。準備を重ねたうえで迎えた先月21日の土曜夜。公民館のスクリーンの前で、事前に参加登録された方は家で、職場で、中には車の中で声だけを、と大勢の方が耳を傾けてくださった。
「胸のもやもやが消えました」「マスクをしている人は、会場では手を挙げて、画面の人はボタンを押してね、という呼びかけに、あっ、みんな繋がっているんだと楽しくなりました」
桃井さんからもさっそく、オンラインだからこそ参加者みんなのお名前がわかった。遠方の方にも聞いてもらえた―と、まさに災い転じてのメールが届いた。
とはいえ粕川のみなさんからは、早くも来年、節目の30回はなんとしてでも粕川公民館で。また今回参加登録された方からは、1度粕川の会場に足を運んでみたいと連絡をいただいた。
もちろん来年は、赤城おろしの空っ風を跳ね返して、きっと粕川へ。
いつまでものさばれると思うな、コロナウイルスめ。
(2020年12月1日掲載)
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