日刊スポーツ「フラッシュアップ」 大谷昭宏
無犯罪証明書一刻も早い導入を
-両論併記の議論必要なのか- 反対論も根強く
新型コロナ禍の中にあって、人の命も大事だけど経済だって、という議論からは決していい結果は見えてこない。それと同じような議論に、出演している東海テレビの番組で出合った。「無犯罪証明書」。いまこれを児童生徒の性犯罪被害が絶えない学校現場に導入しようという動きがある。
番組では、娘が小学4年のとき担任に股間の見える写真を撮られたという父親が取材に協力。この教諭は前任の中学で女子生徒の体を触ったことが発覚。だが、1年後には復職していた。父親は「なんでそんな教師が」と体をふるわせる。
また高校のとき、教師から性被害を受けた女性は「そんな先生がなぜ、いまも教壇に立っているのか」と悔しさをにじませる。だけど、いまの日本では性犯罪で教員資格を失っても3年後には復職できる。
こうしたなか、叫ばれているのが無犯罪証明書なのだ。何も罪を償った前科まで明らかにしろというのではない。教師になる人物が性犯罪を犯したことがない、という証明書を法務省に発行してもらおうというのだ。
だが当然のことながら、「子どもの人権も大事だけど」としつつ、反対論も根強い。憲法の職業選択の自由を侵す。それに犯罪者就労支援の団体は更生の道が閉ざされると、危惧する。
だけど、男子女子かかわりなく襲いかかる教師のわいせつ行為、盗撮、児童ポルノへの投稿。果たしてこの問題、両論を併記して議論すべきことなのか。無犯罪証明書は、一刻も早く導入すべきではないのか。
「先生の言うことをよく聞いて」という親はいても、「先生に気をつけて」と送り出す親はいない。
(2020年12月15日掲載)
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