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2020年11月19日 (木)

日刊スポーツ「フラッシュアップ」 大谷昭宏

第3波も個々人の底力で乗り切るしかない
‐とんでも「Go To」尻目に…‐

 オランダより友来る。空手普及のためオランダに渡ってほぼ半世紀。旧知の今野充昭さんが久しぶりに帰国して東京でお会いした。

 日本に戻って、まず目を丸くしたのがマスクマスクの波。オランダは、人口は日本の7分の1ほどなのに新型コロナの感染者は42万人、死者も8200人と、いずれも日本の4倍。だけど政府がいくらマスクの着用を訴えても、3割近くの人は、どこ吹く風の個人主義の国。

 その一方、日本ではオランダから見れば信じられない、国が旗振り役の「Go Toキャンペーン」。

 「だけど国がとんでもないことをしても国民1人1人は、人にうつさない。人からうつされない。それに徹する。これこそが本当の個人主義だと思うのです」

 いまではオランダと日本のスポーツ界の懸け橋となっている今野さんが、もっと驚く出来事があった。

 コロナ禍の中、初めて米、中、露の選手を招いて開いた体操の国際大会。内村航平選手の「偽陽性」で関係者をヒヤヒヤさせたが、結果は大成功。今野さんは国際体操連盟(FIG)の渡辺守成会長はじめ関係者に頭が下がる思いだった。

 定期的なPCR検査に会場への送迎。他者との接触。関係者は「選手をシャボン玉で包んでいるような毎日だった」という。日本人ならではの細やかさ。大会を終えた内村選手も「東京五輪も『「できない』じゃなくて、『どうにかできる』方向に考えを変えて」と話す。

 今野さんは、いささか母国を持ち上げすぎという気もするが、寒さとともにやってきたコロナ第3波。国がかたくなに続ける施策を尻目に個々人の底力で、なんとか乗り切るしかないようだ。

(2020年11月17日掲載)

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