日刊スポーツ「フラッシュアップ」 大谷昭宏
分断の時代に消えゆく…「革新勢力の旗手」
‐1人になった社民党‐
社民党の機関誌「月刊社会民主」にコラム「気ままにひとこと」を連載して実に21年になる。その長期連載の灯が消えかけている。私が執筆をやめようと思ったわけではない。社民党そのものがなくなろうとしているのだ。
14日の党大会で、4人の国会議員のうち3人が立憲民主党に合流、福島瑞穂党首ただ1人が党に残る。そうなると、政党助成法などが規定する「政党」ではなくなる。党大会では怒号が飛び交い、福島党首が「出て行くおとっつあんに、なんで拍手を?」と言えば、照屋寛徳元副党首が「あなた1人が先輩方が築いた遺産をすべて食いつぶした」。
1945年、終戦直後の社会党結党。60年、70年安保に米軍基地闘争。沖縄返還や護憲運動。一時は200人以上の国会議員を擁し、村山富市首相や土井たか子衆院議長も輩出した革新勢力の旗手。だが、96年に社民党となって以降、党勢は落ち込むばかりだった。
「マドンナ旋風」「山は動いた」「自民党と民主党の違いはカレーライスとライスカレー」。そんな言葉も、いまはなつかしさだけだ。とはいえ議会を通じて富を公平に再分配する社会民主主義の理念は大事にしたい。
一方で、いまの政治に目を向けると、1強支配対寄せ集め野党。コロナ禍では、命か、経済か。住民投票の記載は「賛成」か「反対」かだけ。海の向こうでは、赤か青かで真っ二つ。何事も二分、分断され、両者がなりふり構わず、いがみ合う。
そんなとき、「みんな、ちょっと待って」と、ときには気ままに、ときにはピリリと辛いひとことが言える、小粒の政党があってほしいと思うのだがー。
(2020年11月24日掲載)
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