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2020年10月22日 (木)

日刊スポーツ「フラッシュアップ」 大谷昭宏

「高齢者免許保証人制度」導入を
-年寄りのわがまま、極まれり-

 東京・池袋で昨年4月、車を暴走させ、当時31歳の母と3歳の娘を死亡させたうえ、9人に重軽傷を負わせた元通産官僚、飯塚幸三被告(89)の裁判で、飯塚被告はおわびの言葉を口にしたものの、事故原因は車の欠陥として無罪を主張。被害者の遺族は「だったら謝ってほしくなかった」と唇をふるわせている。

 だが、いま法曹関係者から届く声は「判決確定時には90歳。有罪になっても執行猶予」というものが大半だ。とすると、飯塚被告は身をもって償いをすることなく、生涯を終えることになる。それでいいのか。

 一方、この事故のあとも、高齢ドライバーによる死亡事故や暴走があとを絶たず、あげくには免許返納を説得する家族に対する傷害事件。私も高齢者のひとりだが、「年寄りのわがまま、極まれり」という気がする。

 そんななか、私が最近テレビ番組のコメントや司法関係者との会話で折に触れて、これはどうか、と訴えているのが「高齢者免許保証人制度」だ。小難しい話ではない。例えば高齢者の場合、親族だったら2人、親族以外だったら3人以上の保証人がつくことを条件に免許を交付するのだ。

 保証人のなり手がなければ高齢者はあきらめがつくだろうし、一方で保証人を引き受ける息子や娘は「高速道は不可。一般道に限る」「運転は昼間のみ」といった法律的にはなかなか難しい条件もつけることができるのではないか。

 車がないと日常生活もままならない地方の事情もわかる。だが、池袋事故で残されたパパの誕生日を祝うありし日の母と娘の映像に、お年寄りもこのくらいの条件は良しとしようよ、と思うのだ。

(2020年10月20日掲載)
 

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