日刊スポーツ「フラッシュアップ」 大谷昭宏
だらしない国のたらい回し文化
-国勢調査とコロナに思う-
10月18日、日曜。大阪・豊中市のわが家のポストに[至急]と赤字で書かれた督促状が入っていた。「国勢調査の調査票を至急ご提出ください! 調査には回答の義務があります」とある。いきなり「義務だ」とは随分な言い方ではないか。
それに、だ。わが家は調査員への提出やネット回答を避け、個人情報が確実に守られそうな郵送にして10月4日に投函している。いくら「すでに提出されて行き違いの場合はご容赦を」と書かれていても、2週間もたっての行き違いはなかろう。
月曜の朝、市のコールセンターに電話すると、応対した女性は「いま、そうしたお問い合わせが殺到していて担当者が電話しますが、いつになるかはわかりません」。夜7時すぎにやっとかかった市の担当者によると総務省統計局国勢調査実施本部が一括管理。届いた回答によると、わが家の調査票は「10月8日18時到着」となっているという。
大阪から東京への郵便物が4日もかかるとは思えないが、8日に届いていたのに18日に督促状とはどういうことだ。担当者によると、国の実施本部の作業が遅れに遅れ、到着から10日たっても提出済みにならず、市町村に「督促状の配布を」の指示がきてしまったという。
コロナ禍緊急事態のころを思い出すではないか。保健所に電話をすると、「国のコールセンターだ」。国に電話をすると、「こっちは手がまわらない。保健所に言ってくれ」。その間、どれほどの死者、重症者を出したことか。私たちの国は、いつからこれほど無能で、だらしなくなったのか。
寒気が迫ってくるなか、コロナ感染者数が不気味に増え続けている。
(2020年10月27日掲載)
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