日刊スポーツ「フラッシュアップ」 大谷昭宏
こんな施策やめさせるしか…
-いいのか「Go To」東京外し-
これまでテレビやラジオでコメントしてきたが、このコラムでもしっかり書いておきたい。いよいよ明日から始まる「Go To トラベル」。新型コロナで大打撃の観光事業支援のため、宿泊代を最大2万円補助するこの施策。だが、直前になって政府は東京都民と東京に旅行する人は除外すると決めた。見たことも、聞いたこともないこんな施策、やめさせるしかない。
たとえはよくないかもしれないが、税金を使った国の事業で北海道と沖縄を除くとしたら、そこに住んでいる人、その土地がふるさとの人はどう思うか。
東京の感染者が急増、大阪を含めて大都市から感染が広がり、緊急事態宣言の時より深刻というのであれば、まず連休前に全国で移動の自粛を求めるべきではないか。
「東京外し」をめぐっては新聞、テレビが一斉に報じたように感染が深刻化しているなか、国民大移動をあおる政府を「冷房と暖房、両方かけている」と痛烈に批判した小池都知事へのシッペ返しであることは間違いない。だけど原発や基地、それにリニア新幹線。国家的事業に知事が待ったをかけるたびにこんなことをされていたら、地方自治はあったもんじゃない。
もう1点。国は二言目には感染対策と経済再生の両立を訴える。経済、つまりお金が回らなくなって日々の生活が立ち行かなくなる人が後を絶たない。そんな社会であってもいいのか、という。
本当にそうか。いま、全人類は予防のワクチンもない、治療する薬もない。これまで出会ったこともないウイルスと闘っている。世界中の科学者が知恵と力を出し合っても、まだ命を守れていない。
一方で経済、お金。今回、支援に乗り出した観光、それに中小企業。運転資金がまわらず、「首をくくる人が出たら、命を守る感染対策は元も子もない」という。
だが、それは違う。コロナ禍の中、最後のセーフィティーネット、生活保護の申請が急増している。予算が足りなくなるなら、第2次補正の予備費10兆円を切り崩して耐えたらいい。こちらはウイルスとの闘いと違って、社会には命を守るすべはいくらでもあるではないか。
ともあれ、「Go To」の東京外し。都民は早急に行政不服の申し立てや、裁判所に事業中止の仮処分を申請すべきと思うのだ。
(2020年7月21日掲載)
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