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2018年7月26日 (木)

日刊スポーツ「フラッシュアップ」 大谷昭宏

もしW杯に空手のルールがあれば
‐日本のボール回しにオランダから便り‐

  きょう7月24日は2年後の東京オリンピックの開会式の日である。スポーツ全般を見ると、野球は日米ともにオールスター戦が終わって後半戦。サッカーはW杯ロシア大会が閉幕、Jリーグが再開された。そんな折り返し点に、ふと、スポーツについてあれこれ思う。

  悲願かなって東京五輪から競技種目となった空手一筋、私とは40年来のおつき合いになるオランダ在住の今野充昭さんから〈前回の東京五輪で外国人初の柔道金メダリスト、アントン・ヘーシンクIOC元委員(故人)の秘書を務められていたマールティンさんとのやりとりです〉として興味深いメールが届いた。
 
  〈サッカーW杯で日本が決勝トーナメント進出を決め、マールティンさんから「おめでとう!」のメールが入ったとき、気になったことがあってやりとりしたのです〉

  「気になったこと」とは、もちろんポーランドに日本が0ー1で負けていたのに終了10分前からボール回しで時間稼ぎ、決勝トーナメント進出を決めた、あの件である。

  〈空手の大会では1‐1や2‐2で引き分けた場合は、先取点を取っていた選手が勝ちとなります。ただ、引き分けでも「勝てる」と判断した選手が、そのために戦いを逃げたり、時間稼ぎをしたときは、その優先権は取り消しとなります。その結果、引き分けとなった場合は5人の審判の旗判定となるのですが、流れとしては逆に時間稼ぎをした選手が不利となる時があります。サッカーW杯にも空手のようなルールがあれば、ボール回しはどのチームもできなくなる訳です〉

  今野さんはマールティンさんとのやりとりのなかで、スポーツは他競技のルールを比較参照することでより改善されていくのでは、という結論になったという。

  〈ルールといえば日本の剣道のように「一本」のあとガッツポーズをすると、その一本は取り消される競技もあります。剣道でなくても審判に食ってかかるなんて日本の武道競技では切腹に等しい行為です。とは言っても、サッカーで選手が審判に怒鳴るのも、本物の怒りとジェスチャーにすぎないものとがあって、この見極めもおもしろいです〉 な?るほど、競技もいろいろ、ルールもいろいろ。シーズン後半、今野さんにスポーツの、もう1つの楽しみ方を教えてもらった。

(2018年7月24日掲載)

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